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2016/03/16

マーケットインの考え方を製品に活かす

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綺麗創造ラボ

皆さんは、マーケットインとプロダクトアウトという言葉を聞いたことはあるでしょうか。

この2つの言葉は商品開発において、よく使われます。

 

 

 

プロダクトアウトとは、商品の作り手側を優先とする考え方で、とにかく自分たちが良いと思うものを世の中に作り出していこうという考え方です。
一方、マーケットインとは、顧客を中心に商品を作っていく考え方で、お客様の求めているものを徹底的に調査して声を拾い上げ、その声(顧客のニーズ)に合う商品を作り出していく考え方です。

 

では、このプロダクトアウトとマーケットイン、どちらの方が良いのでしょうか。
実は、そこに明確な答えは存在しません。どちらも重要ということです。

 

しかし、得てして商品を提供する作り手側は、プロダクトアウト寄りの発想に偏ってしまうケースが多いのです。
特に、女性の作り手に多く見られます。脳科学の世界になるのでここでは述べませんが、男性よりも女性の方が、「自分の好き」に対して一心に突き進む傾向が強いからです。(男性は比較的回りを見ながら全体最適を目指す傾向が強いです)
そもそも、プロダクトアウトの考え方が向いているのは、高度経済成長期のような大量生産の求められている時代です。このような時代は、商品をつくればどんどん売れていく時代でしたので、作り手の意志を最大限に尊重することができたのです。

 

しかし、時代が進むにつれて、市場の成長は鈍化し、また消費者のニーズが多様化してきたことにより、作り手が良いと思うものを作るだけでは、商品が売れなくなってきました。それが今の時代です。

 

そこで登場したのがマーケットインの発想で、現在のような細かいニーズに対応する時代のマーケティングとして適しているのです。

 

しかし、それも度合いが重要です。
実際、高度経済成長期を支えてきた日本の大手企業は、マーケットインの発想に偏りすぎてしまいました。そうなってしまうことにより、消費者のニーズ以上の商品を作ることができなかったのです。ソニーや東芝、シャープやパナソニックといった日本の代表的な家電メーカーが、アップルになれなかった要因の一つがそこにあるでしょう。

 

従って、プロダクトアウトの考え方だけでもダメですが、マーケットインの発想だけでも良い商品は作れません。この2つを両取りするのが最も理想的になります。プロダクトアウトとマーケットインのどちらかを選ぶのではなく、両方を意識しながら商品開発に臨むということです。

 

さて、化粧品の場合ですが、ベースはプロダクトアウトの発想からのスタートで良いです。やはり「自分が欲しい」「こんな人の肌を良くしたい」「自分がこの商品で肌の悩みが消えた」といった思いのない商品でないと、なかなか売れません。
競合商品ひしめくネット通販です。サイトを立ち上げてすぐに売れるわけではありません。従って、「どうしてもこの商品を○○の悩みを持つ人に届けたい」といった強い思いがないと、続けられないのです。
ですから、ベースは自分の思いであるプロダクトアウトの発想が良いのです。

 

しかし、プロダクトアウトの考え方だけですと、消費者のニーズから離れてしまうケースがあります。そこで、マーケットインの考え方をエッセンスとして加えるのです。プロダクトアウトの発想が「熱い気持ち」だとすると、マーケットインの発想は「冷静な目」です。自分の商品が、目の前の消費者のニーズに合致しているのかを、客観的に判断する材料として取り入れるのです。

 

その具体的な例の一つが、「消費者の声」になります。
例えば、自身が作ろうとしている商品に十分な市場はあるのでしょうか。もし、市場規模が10億円しかないマーケットだとしたら、10%のシェアを取ったとしても、年間1億円の売上にしかなりません。

 

いくら「良い」と思われる商品であっても、そもそもビジネスとして成り立たなければ意味がありません。また、事業計画を作るに当たっても、どの程度の市場規模があるのかを把握することはとても大切です。
「消費者の声」は必ず商品コンセプトが出来上がり、製造する前に聞いてください。

 

例えば、次の図1をご覧ください。

 

アンケート

 

図1は、定期的に使用しているスキンケア化粧品をアンケート取ったものです。
仮に「肌荒れに悩む男性向けスキンケア」の開発をするとしましょう。
プロダクトアウトの発想段階では、ピンポイントでケアする”美容液”も商品ラインナップの中に入れることを検討していました。しかし、消費者の声を聞いてみると(アンケートを取ってみると)、たったの1%しか使用していません。

 

日本国内における20代~40代男性の数は約2,500万人。
美容液の年間平均購入回数を2回として、商品単価を1万円とすると、使用率は1%なので、
市場規模 = 2,500万人 × 1% × 1万円 × 2回 = 50億円 です。

 

市場全体でこの規模ですから、ブランドスタート段階では、美容液は外して、まずは洗顔フォームと化粧水、ピンポイントのケアにはリップクリームから始めよう、という考えになるのではないでしょうか。もちろん、今まで使わなかった人たちも使うようになる、市場を創出できる可能性もありますが、リスクがあります。他の市場規模の大きいラインナップからはじめて、顧客の意見を聞きながら追加していくのがベターでしょう。

 

このように、プロダクトアウトの発想にマーケットインのエッセンスを加えながら化粧品開発をしてくことが、失敗のリスクを減らす上では重要です。

消費者の声を聞くアンケートですが、今は無料のセルフアンケートもありますので、ぜひ活用してみてください。

 

【第2回】マーケットインの考え方を製品に活かす その2 

 

株式会社プラスリード 齋藤健太
  • ライター
  • 齋藤健太
  • 企業名:
    株式会社プラスリード
    専門領域:

    マーケティング支援

    ホームページ :
    http://www.pluslead-inc.com/
    化粧品事業のスタートに最も重要な事は? :

    販売する商品および店舗(ECサイト)におけるコンセプトとターゲットの一貫性

    プロフィール :

    慶応義塾大学理工学部卒業後、株式会社船井総合研究所に入社。化粧品メーカーを中心に、様々な業種・企業のマーケティング分析、戦略構築を実践。約50社の化粧品メーカーを集めたセミナーの主宰も行う実績を持つ。現在、株式会社プラスリードの代表として、企業のマーケティング戦略の構築やコンサルティングを行っている。「問題解決のためのデータ分析」を2013年9月に出版。