化粧品通販ビジネス、広告、薬事法・景表法、マーケティングの情報サイト

  • 化粧品通販事業の成功と、女性の”正しい綺麗”を創る。
綺麗創造ラボ > 綺麗創造ラボ > オリジナル素材の化粧品で気をつけたい、安全性とお金の話。
2015/11/02

オリジナル素材の化粧品で気をつけたい、安全性とお金の話。

  • 化粧品通販事業
綺麗創造ラボ

化粧品業界に参入するなら、やはり差別化できる独自素材を使いたいもの。化粧品や医薬部外品として配合される原料には、当然ですが安全性の証明が求められます。今回はそうした安全性証明の様々な検査と、必要な費用についてお話します。

化粧品は全成分を表示

2001年に薬事法第61条第四号により化粧品全成分表示制度が導入され、化粧品については禁止成分(ネガティブ成分)と制限成分(ポジティブリスト)以外の成分は、各企業の責任により原則自由に配合が可能となりました。そして直接の容器などにそれらの成分名称を表示しなければなりません。

 

それまで、化粧品原料基準(粧原基)、化粧品種別配合成分規格(粧配規)に掲載原料は承認許可を得ずとも使用可能でしたが、それ以外の原料については承認許可が必要でした。

 

規制緩和と同時に、消費者へ原材料についての詳細な情報開示を行う目的で行われた法改正です。
※薬事法は2014年に『医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)』に名称変更されました。

様々な角度から安全性の証明が必要 

化粧品には、その効果効能の範囲の違いで、「一般化粧品」と「医薬部外品(薬用化粧品)」があります。医薬部外品は厚生労働省の承認が必要なため、一般化粧品のほうがオリジナル商品を作りやすいと思われますが、どちらを選ぶかは商品の特性とコストを勘案し検討してください。

配合前例のない部外品原料新規添加物については、下記リストの安全性試験すべてをクリアしたことを証明する必要があります。


1.単回投与毒性試験
2.皮膚一次刺激性試験
3.連続皮膚刺激性試験
4.眼粘膜刺激性試験
5.感作性試験
6.光感作性試験
7.光毒性試験
8.復帰突然変異試験
9.染色体異常試験
10.ヒトパッチ試験(製剤、原剤)

※すべての試験を実施すると、約2ヶ月間の試験期間と、約700万円程度の費用が必要となります。

 

化粧品原料については部外品原料の安全性試験を参考とし、必要に応じ選択すると定められています。
原則として上記2.4.5.6.7.8.の項目が必要とされ、費用の目安は約450万円程度です。

 

また、日本化粧品工業連合会が発行している『化粧品の安全性評価に関する指針2008』では、基本的に評価しなければならない安全性試験項目を、下記の5つとしています。


-単回投与毒性
-皮膚毒性(皮膚一次刺激試験、連続皮膚刺激性試験、光毒性試験、ヒトパッチテスト)
-眼粘膜刺激性
-皮膚アレルギー性(感作性試験、光感作性試験)
-変異原性

 

・経皮吸収が認められる場合は、発癌性、生殖発生毒性、反復投与毒性も確認します。
・上記リストの4.は、眼に入る可能性の高い製品で使用する場合、例えば洗顔料などでは必須となります。
・上記リストの5.は、食品においてアレルギー発症が多いものを出発原料としている場合、例えば卵、乳、小麦、えび、かに、落花生、そばなどが原料の場合必須となります。
・上記リストの6.7.は、光毒性や光感作性が疑わしいもの出発原料としている場合、例えば香料、精油、柑橘類原料では必須となります。

 

安全性に関わる事故事例

(1)小麦加水分解物を含有した化粧品(石鹸)での全身性アレルギーの発症
(2)ロドデノール含有化粧品(美白化粧品)での白斑様問題
上記2事例は、まだ記憶に新しいかもしれません。問題が起きてからでは遅いので、やはり細心の安全性チェックが必要なのはご理解いただけると思います。

 

開発段階で把握する、化粧品の安全性について

独自素材を化粧品原料として使うには、まず安全性の証明から。限りある予算と期間の中、安全性試験のどれを実施するか慎重に検討しなければなりません。また同様に、製品自体の安全性も、しっかりと認識(評価)しておく必要があります。
また、試験の委託先を選ぶ際には、試験予算を抑えつつ、化粧品の製品や原料の安全性や有効性を、客観的に評価できる技術を持つ企業。さらには、昨今の業界動向に沿う、実験動物を用いない試験方法を確立している企業などに、依頼する事が望ましいと言えます。

 

参考記事

化粧品には欠かせない医薬品医療機器等法とマーケティングの考え方|綺麗創造ラボ