化粧品通販事業は、低予算で誰もが手軽に始めることが出来るため参入企業が多くある一方、成功している企業はごく僅かであるのが現実です。準備不足のまま事業を開始し、撤退を余儀なくしている企業が多くあります。成功している企業と、失敗している企業の差を見てみると立ち上げ前にどれだけ真剣に準備を行ったかに大きな違いがあります。
・化粧品通販事業の立ち上げ時に準備しておくべき5つのこと(下)
最低限、これら5つは事前に準備しておきます。特にコンセプトが曖昧なまま立ち上げて上手く行っている企業は無いと言っても過言ではありません。
コンセプトとは
を明確にしていくことです。
よくあるのが、『30代、女性』というようなターゲットの決め方。これではターゲットは明確になっていません。なぜなら、そのような女性は世の中に沢山おり、ニーズが異なるからです。乾燥肌に悩んでいる人もいれば、シミに悩んでいる人もいます。もっと深堀すれば、どこにあるシミに悩んでいるのかさえ、ひとりひとり異なります。これらを明確にしていくことが何よりも大切です。つまり、商品を通して提供できる価値に喜び、共感する人はどんな人かを絞り込んでいくのです。絞り込めば絞り込む程、より具体的にイメージができ、その後の広告プロモーションにも役立ちます。決して、曖昧なまま進めないということを肝に銘じておくとよいでしょう。
事業を始める際には、事業構造やビジネスの難しさを理解するためにもシミュレーションを行うことが大切です。特に、広告を使って顧客を獲得するビジネスモデルの為、広告投資におけるシミュレーション作りがとても重要になります。シミュレーションを作る際には、次のような数字を当てはめていきます。
などです。
事業開始前は、シミュレーションに当てはめる数字自体が仮の数字となるため、シミュレーション通り事業がいくかどうかはわかりません。しかし、この時点で精緻なシミュレーションを作ることが目的ではなく、実際に、どの数字を動かすとどこに影響が与えるのかなどを体験して、理解を深めることに意味があるのです。
ある化粧品を販売しているお店の経営者は、通販立ち上げ前に、エクセルなどを使わず、何通りものシミュレーションを自ら作り上げ、事業を成功させる為の具体的なイメージを持った上で事業を開始することができました。
一方、このようなシミュレーションを行わず事業を始めた会社は、その時々に出てくる目の前の数字に翻弄され、場当たり的な対応に時間や労力ばかり費やし、根本的な解決には繋がらないでいます。
シミュレーションを作ってから事業に取り組むのか否かで、その後の事業の成否に大きな影響を与えます。化粧品通販事業を始める際には、必ず取り組んでください。
化粧品通販事業は、『注文を受けてから、商品をお客様の手元に届け、代金を回収』するという一連の流れがあります。このような販売の流れを滞りなく行う為に、以下のような準備が必要となります。
通販事業成功に欠かせない事のひとつに、専任の担当者を置くということがあります。事業を開始してみると、想像以上に手間暇がかかり、他の業務と兼任して片手間で出来るようなものではないと気づくことでしょう。はじめは、売上、商品発送数も少ないので、1名で十分ですので、専任の担当者を必ず置くように心がけてください。
オンラインショッピングが出来る為の、ホームページの準備を行います。ホームページには、商品一覧、商品の特徴やこだわり、お客様の声、開発や製造の写真、スタッフ紹介、会社概要などが必要な情報となります。ホームページの制作に関しては、出来るだけ通販会社の制作実績がある会社から選ぶことをお勧めします。また、同様に購入を支えるショッピングカートシステムの選択も重要になりますので、各社の機能など情報を収集し比較して選択するようにしてください。
通販販売には、「代金引換」「クレジットカード決済」「後払い決済」と3つの決済方法があります。代金決済も重要なサービスの1つなので、それぞれの特徴を理解した上で、準備をしておくことが必要です。
・「代金引換」は、お客様が代金と引き換えに商品を受け取る方法です。100%代金を回収できるメリットがある反面、手数料、振込手数料がかかります。
・「クレジットカード決済」は、注文時にクレジットカード番号を入力してもらう方法で価確実な代金回収ができ、お客様からも支持が高い支払い方法です。
・「後払い決済」は、銀行振込、郵便振替、コンビニ決済があります。特に、コンビニ決済は、日中は仕事で忙しく、銀行や郵便局に立ち寄ることができないサラリーマンやOLなどには特に支持が高い支払い方法です。
通販立ち上げ時は、売掛金の管理、督促も手間がかかるので、「代金引換」「クレジット払い」だけで始め、体制が調った後で、後払い決済を導入という形でも構いません。利用したい決済方法が選べないという理由だけで、商品の購入を止めてしまうお客様もいますので、機会損失を防ぐためにも、これららの決済方法は出来るだけ準備をしておいたほうがよいでしょう。
お客様から注文が入り、配送するまでに以下の手順があります。
・受注データの入力
・梱包材、商品、同梱物のピッキング
・ピッキングした商品、同梱物の梱包
・梱包した商品と、請求書、納品書に間違いが無いか確認
・宅配業者に商品を渡す
ミスなく正確にお客様に商品を届けられるような一連の流れを事前に構築することが大切です。自社で梱包から配送まで対応できることが一番望ましいですが、もし、人員が割けないような場合は、注文後、ピッキングから、梱包、配送までを請け負う企業も多くありますので、そのような企業の情報を収集して、選択して活用をすると良いでしょう。
顧客管理システムは、お客様情報や販売履歴を管理する為のシステムです。通販事業立ち上げ当初から、このようなシステムに多額の投資をすることはお勧めできません。初めは、
EXCEL、ACCESSでも十分に管理ができますので、システムに投資する代わりに、新規顧客を獲得する為の広告や、ツール類に予算を当て、事業の基盤を作っていくよう心がけてください。売上が上がってきたら、その規模に応じてシステムを選択していくのが良いでしょう。
・化粧品通販事業の立ち上げ時に準備しておくべき5つのこと(下)
商品に強いこだわりを持ち、奇をてらわず当たり前の事を成果が出るまで着実に行うこと。 通販に特化した広告代理店を経て、株式会社通販総研に入社。 現在、化粧品通販新規参入支援、化粧品通販企業向けに『新規顧客獲得』、『リピート顧客育成』による売上アップ支援を行っています。 多くの事例をもとにした実践型の支援により、クライアントの強みを伸ばし、着実な成長を促すことをモットーにしています。 現在、化粧品業界誌『週刊粧業』にて連載中。