前回お伝えしたマーケットインの考え方について、今回は具体的なマーケット情報をいくつかお見せしながら、どのように商品開発に活かしていくのか考えたいと思います。
- マーケットインの考え方を製品に活かす その1
- マーケットインの考え方を製品に活かす その2(現在のページ)
- マーケットインの考え方を製品に活かす その3
洗顔料、化粧水、美容液、パックのマーケットデータを見ながら、それぞれの商品開発について考えていきましょう。(今回は洗顔料と化粧水について、次回美容液とパックについてお伝えします)
今回お見せするマーケットデータですが、弊社がwebアンケートを活用して20代~50代女性500名に対して調査した結果となります。
まずは洗顔料を見てみましょう。
図1は、「洗顔料の購入頻度」を聞いた結果になります。
全体の7割以上の女性が、3ヶ月に1回以上は購入していると答えています。半年に1回程度まで購入すると答えている人数を加えると、9割近い女性が定期的に洗顔料を購入していると答えています。
次に図2を見てみましょう。
図2は、洗顔料における現在使用しているブランドの使用期間になります。例えば、3年以上同じブランドの洗顔料を使用している割合は、33.7%と女性全体の3分の1程度となっています。注目する部分は、「3か月〜半年未満」以下の割合でしょう。現在使用しているブランドの使用期間が半年未満と答えている割合は34.1%と、こちらも女性全体の3分の1程度となっています。
先ほどの図1でお伝えした通り、女性の9割は半年に1度は洗顔料を購入します。その内の3分の1程度は新しいブランドを購入することが想定されます。新規顧客を獲得するに当たって、洗顔料からブランドスイッチを狙うのは一つの戦略としてアリだと言えるのではないでしょうか。
最後に図3をご覧ください。
こちらは洗顔料の購入価格帯を聞いた結果になります。半数以上の女性が1,000円未満と答えており、2,000円未満が20%強、3,000円未満が10%強となっています。
より多くの新規顧客を獲得するための洗顔料の価格帯としては1,000円未満に設定するのが望ましいと言えるでしょう。(本体価格で困難な場合は、トライアルでの価格設定もありです。)
以上、洗顔料は、新規顧客獲得のための商品として、まず自社のブランドを知ってもらうために活用できるのではないでしょうか。それを踏まえた商品開発が重要だと思われます。
次に化粧水を見てみましょう。
図4は、「化粧水の購入頻度」を聞いた結果になります。
全体の3分の2もの女性が、3ヶ月に1回以上は購入していると答えています。半年に1回程度まで購入すると答えている人数を加えると、実に85%以上の女性が定期的に化粧水を購入していると答えています。
女性にとってスキンケアは重要です。そのベースとなるのが化粧水になります。女性の88%が毎日化粧水を使っているのですが、大半が半年に1回以上、自身で購入しています。
次に図5を見てみましょう。
図5は、化粧水における現在使用しているブランドの使用期間になります。例えば、3年以上同じブランドの化粧水を使用している割合は、女性全体の34.2%となっています。
一度ファンにさせることができたら、比較的長く使ってくれるのが化粧水の特徴でしょう。その一方で、移り気な女性がいるのも事実です。例えば「2ヶ月〜3ヶ月未満」以下の割合を見てみると、現在使用しているブランドの使用期間が3ヶ月未満と答えている割合は26.4%と、女性全体の4分の1を超えます。
化粧水は大体2〜3ヶ月で1本使用しますから、特に通販等で直接お客様と接点を持って販売している場合は、はじめの1本目を使っていただいている2〜3ヶ月の間にしっかりとフォローし、3年以上続けてもらえるような関係性を築くのが重要であると考えられます。
最後に図6をご覧ください。
こちらは化粧水の購入価格帯を聞いた結果になります。
4分の1の女性が1,000円未満、同じく4分の1の女性が2,000円未満と答えています。全体の半数が低価格帯の化粧水を購入しています。
また、3,000円未満が18.2%、4,000円未満が14.3%と、中価格帯が全体の3分の1程度を占めるのも「洗顔料」との大きな違いです。
5,000円以上も全体の1割を超えていますので、洗顔料のように「落とす」化粧品よりも化粧水のような「与える」化粧品の方がこだわりを強く持っていることが数字からも明らかになります。
比較的ブランドスイッチしやすい割に、こだわりを持ち長く同じブランドを使い続ける人も多いのが化粧水と言えるでしょう。商品の特徴をしっかりとお客様に伝えることが顧客を獲得し、定期的なフォローをすることで継続させていくことで、「化粧水」から顧客基盤を確立することが可能だと考えられます。
マーケティング支援
販売する商品および店舗(ECサイト)におけるコンセプトとターゲットの一貫性
慶応義塾大学理工学部卒業後、株式会社船井総合研究所に入社。化粧品メーカーを中心に、様々な業種・企業のマーケティング分析、戦略構築を実践。約50社の化粧品メーカーを集めたセミナーの主宰も行う実績を持つ。現在、株式会社プラスリードの代表として、企業のマーケティング戦略の構築やコンサルティングを行っている。「問題解決のためのデータ分析」を2013年9月に出版。