薬事通販コンサルタントの(株)RTCジャパン代表の持田騎一郎です。薬事法を上手に利用したマーケティング(販促、集客)のことを【薬事通販マーケティング】と呼んでいます。化粧品、健康食品など通販においては、この薬事通販マーケティングを活用することで、売上アップが可能になります。今回は、化粧品の新商品開発と薬事通販マーケティングの関係をお話ししたいと思います。
新しく事業を立ち上げたばかりの時は、夢と希望にあふれていますから、流行のジャンル、新しい成分、人気の成分、全てが新鮮で、あれもこれもと目移りしてしまうでしょう。ここで一番失敗するパターンは、「話題の新成分配合!」という化粧品をいきなり仕入れてしまうことです。
それは、広告ができないからです。
「リンゴ幹細胞エキス配合アンチエイジング化粧品」という商品があった場合。「iPS細胞で話題だから、幹細胞化粧品は売れますよ。」とか、「そのリンゴは4ヶ月腐らないスイス産。効果が違います。」とか、メーカーの魅力的なセールストークで、仕入れる契約をしたとしましょう。ところが、いざ、LP(ランディングページ)を作り、広告をしようと思ったら……
「幹細胞」はNG
「アンチエイジング」はNG
「4ヶ月腐らないスイス産りんご成分で老化防止」はNG
「効果が違う」はNG
NGのオンパレードで、Yahoo、Googleの薬事審査で落ちます。
薬事法を知らないWEBデザイナーに頼んでしまうと、こういうLPができあがってきます。この場合の対応方法を簡単にご説明しておくと……
「幹細胞」はNG
⇒ 業界自主規制で「細胞」は使えない。削除。
「アンチエイジング」はNG
⇒効果効能外。「エイジングケア」と言い換える
「4ヶ月腐らないスイス産りんご成分で老化防止」はNG
⇒「4ヶ月腐らない」は景表法的に微妙。
「腐りづらい」「いつまでもみずみずしい」くらいに弱める。「老化防止」は効果効能外。
「効果が違う」はNG
⇒他社誹謗。「効果が持続します」など。
しかし、WEBデザイナーだけの問題ではありません。そもそも、ちゃんと広告できる商品を開発しないといけないのです。
まず、新商品を作る場合、以下の手順をおすすめしています。
(1)商品キーワードの選定
↓
(2)薬事的なリアリティチェック
↓
(3)商品の市場ニーズの調査
↓
(4)モニターテスト
↓
(5)成分の決定、容量の決定、ボトルの決定
↓
(6)ボトルデザインの決定(表記の薬事チェック)
↓
(7)LPの製作(LP素材の収集)
まず、すべきことは、開発しようと思っている商品のキーワードを決めることです。つまり、「何用の化粧品か?」ということです。では、手順をご説明します。
下記、化粧品の効果効能表プリントアウトしてください。
一般化粧品の効能表
http://www.yakujihou.com/content/pdf/5-C.pdf
医薬部外品の効能表
http://www.yakujihou.com/content/pdf/4-D.pdf
この効能表から、攻めたいキーワードを探します。
ある化粧品を買おうと思ったら、あなたはどうしますか? いきなり、ドラッグストアに行く人もいるかもしれませんが、普通、スマホなどで、その化粧品のキーワードを検索しますよね? ですから、ユーザーが一番検索しているキーワードをネットで探せばいいのです。
【1】PCか、タブレットを立ち上げて、Google AdWordsの「キーワードプランナー」にアクセスし、ログインしてください。
※Googleアカウントが必要です。
【2】キーワードプランナーの中の「新しいキーワードと広告グル―プの候補を検索」を選んでください。
【3】キーワードで検索
「宣伝する商品やサービス」の項目にキーワードを入力します。例えば、ニキビ用化粧品で行くなら、ここに「ニキビ」と入れ、検索します。すると、グラフとともに、月間平均検索ボリューム数と推奨入札単価が表示されます。「キーワード候補」のタブを選ぶとニキビとその関連するキーワードの検索ボリュームも分かります。
などなど
カタカナ、ひらがなで数値が違いますので、いろいろ入力してみてください。
合格ラインは、月間検索が、1万件以上あれば、OKですが、入札単価は、500円以下がいいです。なぜかというと、検索で出てくるPPC広告は、クリックごとに広告費を支払うので、1クリックごとで、500円かかるわけです。PPC広告をクリックして、LPに飛んできて、だいたい1%がコンバージョン(受注)すれば、OKと言われていますので、100件の受注を取るには、1万クリックが必要です。
となると……
@500円x1万クリック=500万円
500万円の広告費がかかるわけです。
500万円÷100人=1万円
新規顧客獲得単価:CPR(CPA)は、1万円以下にしたいからです。
分かりますか? 少々難しいでしょうか?
話を元に戻すと……
「ニキビ」単体のワードは、ボリューム数的にOKですが、入札単価が、500円以上なので、ニキビで行きたい場合は、複合キーワードで行く必要があります。
先程の「背中 ニキビ」は、40,500件、447円。
入札単価がやや高いですが、ボリューム数的に悪くないなと、分かります。
念のため、キーワードプランナーに「背中 ニキビ」を再度入力し、月別の単体の検索数の推移を見ると、やはり、背中ですので、秋冬は下がりますが、それでも1万件以上の検索数は維持されています。
「背中 ニキビ」用化粧品で行こう! と決めた場合、次に、薬事的にどんな形態の商品にできるか? を考えないといけません。一般化粧品なら、石けんか、クレンジングですし、医薬部外品なら、浴用剤、化粧水、クリーム、乳液など幅広いジャンルの商品が選べます。このように、商品を決める場合には、まず、キーワード調査から開始してください。
いきなり商品を仕入れてしまうのだけは、是非、止めて下さい。まずは、ニーズを探すことから始めてください。ニーズは、キーワードプランナーで探せます。自分では分からないという方は、サティス製薬さん、または、私までご相談ください。次回以降は、もう少し、キーワード選定について詳しくお話ししていきたいと思います。