薬事通販コンサルタントの(株)RCTジャパン代表の持田騎一郎です。薬事法を上手に利用したマーケティング(販促、集客)のことを【薬事通販マーケティング】と呼んでいます。化粧品、健康食品など通販においては、この薬事通販マーケティングを活用することで、売上アップが可能になります。前回は、化粧品の新商品開発において、いい成分があっても、いきなり商品を仕入れてはいけない! まずは、薬事的な検証をして、キーワードプランナーなどを利用した市場調査、それから、商品を絞り込む必要性をご説明しました。
今回は、「美白」という女性ならみんな気になるキーワードでの商品開発をする場合の考え方をお話します。
まず、繰り返しになりますが、新商品を作る場合は、
以下の手順をおすすめしています。
(1)商品キーワードの選定
↓
(2)薬事的なリアリティーチェック
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(3)商品の市場ニーズの調査
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(4)モニターテスト
↓
(5)成分の決定、容量の決定、ボトルの決定
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(6)ボトルデザインの決定(表記の薬事チェック)
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(7)LPの製作(LP素材の収集)
お店やWEBを見ると、かなりの数の「美白」化粧品が販売されています。何種類の美白化粧品があるのか、数えることすら不可能なくらいです。
女性の関心事のひとつは、「美白」なのかも?
そこで、あなたは、「美白」はいいかも? となんとなく決めまたとします。
(最初は、なんとなくのヒラメキです。)
次に、「美白」が薬事法的にどういう定義になっているかを調べます。すると、薬事法上では、薬用化粧品でないと「美白」はうたえないという運用になっています。では、薬用化粧品の効果効能表を見てみましょう。
種類 | 効能・効果 |
---|---|
1.シャンプー | ふけ・かゆみを防ぐ。 毛髪・頭皮の汗臭を防ぐ。 毛髪・頭皮を清浄にする。 a.毛髪をすこやかに保つ。 b.毛髪をしなやかにする。 a,bの二者択一 |
2.リンス | ふけ・かゆみを防ぐ。 毛髪・頭皮の汗臭を防ぐ。 毛髪の水分・脂肪を補い保つ。 裂毛・切毛・枝毛を防ぐ。 a.毛髪・頭皮をすこやかに保つ。 b.毛髪をしなやかにする。 a,bの二者択一 |
3.化粧水 | 肌あれ・あれ性 あせも・しもやけ・ひび・あかぎれ・にきびを防ぐ。 油性肌。 かみそりまけを防ぐ。 日やけによるしみ・そばかすを防ぐ。 日やけ・雪やけ後のほてり。 肌をひきしめる。肌を清浄にする。 肌を整える。 皮膚をすこやかに保つ。 皮膚にうるおいを与える。 |
4.クリーム・乳液・ハンドクリーム・化粧用油 | 肌あれ・あれ性 あせも・しもやけ・ひび・あかぎれ・にきびを防ぐ。 油性肌。 かみそりまけを防ぐ。 日やけによるしみ・そばかすを防ぐ。 日やけ・雪やけ後のほてり 肌をひきしめる。肌を清浄にする。肌を整える。 皮膚をすこやかに保つ。皮膚にうるおいを与える。 皮膚を保護する。皮膚の乾燥を防ぐ。 |
5.ひげそり用剤 | かみそりまけを防ぐ。 皮膚を保護し、ひげをそりやすくする。 |
6.日やけ止め剤 | 日やけ・雪やけによる肌あれを防ぐ。 日やけ・雪やけを防ぐ。 日やけによるしみ・そばかすを防ぐ。 皮膚を保護する。 |
7.パック | 肌あれ・あれ性 にきびを防ぐ。 油性肌 日やけによるしみ・そばかすを防ぐ。 日やけ・雪やけ後のほてり 肌をなめらかにする。 皮膚を清浄にする。 |
8.薬用石鹸 | <殺菌剤主剤のもの> 皮膚の清浄・殺菌・消毒 体臭・汗臭及びにきびを防ぐ。 < 消炎剤主剤のもの> 皮膚の清浄、にきび・かみそりまけ及び肌あれを防ぐ。 |
薬用化粧品の効果効能表には、「美白」の文字はありません。
「美白」は、「日やけによるしみ・そばかすを防ぐ」の拡大解釈としてOKとなっている表現だからです。
「日やけでシミが増えないから、今の肌の白さが美しく保たれる」
⇒「美しい白さを保つ」
⇒「美白」
となるわけです。
ですから、「地グロの人が、白くなる」という「黒 → 白」という色の変化の意味ではないので、「使えば使うほど、白くなる」とか、「右手だけに使ってみたら、右手だけ白くなった」とか、そういう表現はNGとなります。
さらに、「美白」と書いたら、「*」をつけて、下の方に、「*日やけによるしみ・そばかすを防ぐ」という注釈、通称「しばり」を入れる必要があります。
薬事法上、「美白」は薬用化粧品で、「日やけによるしみ・そばかすを防ぐ」と同義で使われるので、その効果効能が認められているのが、下記4のカテゴリーです。
このなかから、どの商品形態が一番いいかを決めます。
「美白」化粧品の薬事法の確認ができたので、キーワードプランナーで、「美白」の市場調査をします。
「美白」単体のキーワードで、月間22000件、入札単価256円です。月間1万件以上、入札単価500円以下を一つの目安にしていただきたいので、「いけそうかな?」と見当がつきます。
さらに、関連キーワードを検索ボリュームの多い順でソートをかけてみます。
なんと、「アルビオン」の指名検索が74,000件もあります!
「カネボウ」は、例のロドデノール白斑事件の後遺症でしょうか? 低価格化粧品で有名な「ちふれ化粧品」の検索も多いのが驚きです。ここでは、「ファンデーション」、美白成分「ハイドロキノン」が気になります。
「ファンデーション ランキング」、「シミ」、「美白 化粧水」なども気になります。
「しみ」、「美白 美容液」が気になります。
「egf」(上皮成長因子)も、5000件以上の検索があります。
検索ボリューム1万件以上、入札単価500円以下の基準をクリアしたキーワードは、
・ファンデーション
・シミ、しみ
・乳液
・化粧水
・美容液
・ハイドロキノン
となります。
「ファンデーション」は、「しみ」隠しとして利用される化粧下地です。肌の漂白剤とまで言われる成分「ハイドロキノン」も人気です。
成分「ハイドロキノン」
「美白乳液」
「美白化粧水」
「美白美容液」
「美白ファンデーション」とかができないだろうか?
というアイデアが生まれます。
「ハイドロキノン」という成分を調べると、残念ながら「医薬部外品成分」ではありません。
厚労省が認めている美白成分は、
・4MSK
・トラキネム酸
・アルブチン
・エラグ酸
・カモミラET
・コウジ酸
・ビタミンC誘導体
・プラセンタエキス
・マグノリグナン
・リノール酸
・ロデノール
となります。
となると、上記有効成分を含みつつ、ハイドロキノンを含む化粧品を作れば、検索的に有利になるわけです。
ハイドロキノン+美白成分という都合のいい商品が作れない場合はどうしたらいいでしょうか?
その場合は、「ハイドロキノン入りのファンデーションを作る」という選択肢があります。
ファンデーションは、薬事法の例外規定にあるメイク効果ということで、「美白」「くすみ」「しわ」「しみ」などが言えるからです。
美白効果がある成分なのに、その効果をうたえない話題の美白成分「ハイドロキノン」。これを使うには、いろいろな工夫が必要なのです。
化粧品の通販事業を始める時に、まず考えるべきポイントは、見込み客と販路です。 いい商品、いい成分ではありません。 まず、見込み客を絞りこみます。見込み客とは、なんらかの問題を持っていて、あなたの商品を買ってくれるかもしれないお客さんです。あなたの商品が、解決策を提示できれば、購入にいたります。 次に、販路とは、WEB通販なのか、リアル店舗なのかを決めることです。 WEBでは商品を手に取れませんので、いかに、その商品が信頼できる素晴らしい商品であるかをホームページ(LP)で広告しないといけません。 一方のリアル店舗では、ライバル商品が並ぶ中で、いかに自分の商品を目立たせるか、手に取ってもらえるかが重要ですので、商品パッケージでの広告力が問われます。 美白ブームだから、美白化粧品を作ろう!という安易な発想では、確実に失敗します。 1962年、東京生まれ。一橋大学法学部卒業。 日本IBMで最先端のIT技術とセールステクニックを学び、トップセールスとなる。 その後、ニッポン放送、J-WAVE、NOTTVなどマスコミへ転身。 ラジオ、TVの制作プロデューサーとして長らく活躍し、ヒット番組、ヒット広告を多数生みだす。 薬事法ドットコムにて、薬事法、景表法を学び、薬事法管理者、コスメ薬事法管理者の資格をとり、健食、化粧品、医療機器の薬事広告手法を取得し、コンサルとなる。 薬事広告+WEBマーケを組み合わせたハイブリッドコンサルを提唱し、年50回以上のセミナー講師、100件以上のコンサル実績を誇る。 RCTジャパンを設立し、健食新制度「機能性表示食品」のコンサル業務を開始。