化粧品通販ビジネス、広告、薬事法・景表法、マーケティングの情報サイト

  • 化粧品通販事業の成功と、女性の”正しい綺麗”を創る。
綺麗創造ラボ > 綺麗創造ラボ > 単品から? ラインから? 最初に売り出す製品は、こうやって決める!
2015/07/08

単品から? ラインから? 最初に売り出す製品は、こうやって決める!

  • 化粧品通販事業
綺麗創造ラボ

まずは「解決したい肌悩み」に適したアイテムを、製造会社と相談

化粧品通販事業を始めるための商品を開発する際、最初に考えなくてはいけないことに、どのような肌悩みにアプローチをする商品を作るかという点です。肌悩みごとに、最適な処方があり、それにより、1品の単品商品で解決出来る場合もあれば、ラインが適している場合もある為です。

 

商品の開発段階から製造会社の方と打ち合わせを重ね、自社の理想的な品揃えを明確にするのが最初の一歩と言えます。化粧品販売を行いたいという情熱だけにかられ、何も考えずにラインで揃えてしまうケースがよくありますが、まずは理論、品質、考え方をしっかり固めることが大切です。そのためにも信頼できる製造会社を探し、意見交換をしながら、時に化粧品について教わりつつ、商品開発をしていきましょう。

 

単品かラインか? 通販事業スタート時のアイテムの決め方

そして、この点をしっかり踏まえた上で、立ち上げ時に何品目商品を用意してスタートするかを考えなくてはいけません。まずは、ラインの中の1品のみから始めるのか、最初からラインで揃えてはじめるかによってかかる費用も考え方も変わってきます。特に初めて化粧品通販にチャレンジする場合は、まずは1品から始めることをお勧めしています。

 

予め3品や5品の複数の商品からなるラインナップすべての商品を準備するケースをよく見かけますが、一度にラインすべての商品の広告宣伝ができるわけではないので、必ずしも始めから全ての商品を準備する必要はありません。なぜなら、通販の場合、新規顧客を獲得する際に広告を活用しますが、どの商品を使って広告をし、新規顧客を獲得するかという『集客商品』の選定が必要になる為です。販売する側は、どうしてもライン使いで買ってもらう事ばかりに目が行きがちですが、どの商品を使って新規を獲得していくかという点を予め考えて商品開発をすることが重要となります。

ラインナップのデメリットも把握しておくこと

 また、始めからラインすべての商品を揃えて事業をスタートするには、製造コストも多くかかりますし、在庫を抱えるというリスクが生じます。立上げ当初は集客商品1品に絞って商品をまず開発し、事業が軌道に乗った段階で他のライン商品を製造していくという流れをとっても遅くはありません。

 

もう一点、商品開発をする上で抑えておきたいポイントとして、リピート性の高い商品であるかという点がとても重要です。広告を活用して新規顧客を獲得するため、非常にコストがかかりますので、お客様にリピート購入してもらう必要があります。その為、リピート性のある商品であることがとても重要になります。例えば、メイクアップ商品のように次の購入までの間隔が比較的長い商品より、化粧水、クリーム、美容液などのように朝晩使い消費が早い商品が好ましいと言えます。その為、内容量についても多ければ良いわけではありませんので、1ヶ月に1個又は最低でも2ヶ月に1個で使い終わるような仕様になるように考えて行く必要があります。

 

アイテム選びは、事業の生死に大きく関わる! 4社の事例

単品で通販事業に展開したA社

 ある化粧品企業A社は、化粧品をお店などに卸しをすることを本業としています。スキンケア、メイク商品など品揃えも豊富に持っていることもあり、当初は何かしら売れるであろうというような安易な気持ちでの通販事業の立ち上げを考えていました。そこで、新規を獲得するための集客商品を1品に絞り込んでもらうことを最初に行いました。卸で一番売れている商品がファンデーションであった為、それを集客商品に据えすることとしました。しかし、次のリピート購入までの間隔が長いという課題もあったため、その商品購入者には、リピート性の高い保湿ジェルをどのような表現を使って提案をしていくかを立ち上げ時に決め、通販事業をスタートしました。

 

その結果、いろいろな商品でやみくもに広告をすることなく、予め決めた1品に予算、労力を集中することができ、その後の販売シナリオも最初から作ったこともあり、早い段階で通販事業を軌道に乗せることができました。

 

ラインナップ展開を見据え、単品から始めたB社

ある化粧品通販会社B社は、商品ラインナップを増やすことを前提に、しっかりとコンセプトの設計とこだわりの成分を配合した商品開発を行いました。その上で、事業立ち上げ当初はそのラインナップ商品の中の美容液1品に絞り製造を行いました。この美容液は1ヶ月分1万円近くする商品であったため、1週間分のお試し品も製造し、通販をスタートさせました。広告テストを繰り返し、リピート顧客の定着化が見えた段階で、コンセプトに合わせた、他商品(クレンジング、石鹸、化粧水、日焼け止め)の製造を行いました。その結果、出来るだけリスクを抑え、無駄なコストをかけることなく、予算を1品の商品による新規獲得に集中させることができ、通販スタート1年後には事業を軌道に乗せることができました。

 

5品のラインナップとトライアルセットで、化粧品通販事業に臨んだC社

一方、化粧品通販企業C社は、通販立ち上げ時に、5品からなるスキンケア商品の開発を行いました。同時に、トライアル用のミニサイズの商品も作り、新規獲得はそのトライアルセットを販売することからスタートしました。しかし、トライアルセットを購入したお客様のその後の購入商品にバラつきが生じ、立ち上げ当初準備した商品の内2品はほとんど在庫をさばけず、最後には在庫過多となってしまいました。商品作りの段階で、トライアルセットを購入したお客様にどのようなフォローを行いながら、ライン商品を提案していくかというシナリオ作りをしっかりとしていれば、ラインで購入する意義をお客様に理解してもらえ、在庫過多で苦労しなくて済んだかもしれません。

 

品質にこだわったラインナップを揃えた、異業種参入のD社

化粧品通販会社D社は異業種からの参入で新規事業として通販にチャレンジしました。社長自ら商品開発を主導し、品質にこだわった商品をラインで揃えました。ただ、品質にこだわった結果、売価設計が高くなってしまい、新規獲得及びリピート客育成両面で苦戦してしまいました。特にリピート客育成の目処が立たないまま、新規獲得の広告に予算を投下しすぎた結果、赤字が膨れ上がってしまい、数年後には事業撤退を余儀なくされてしまいました。

 

アイテム選びに失敗する企業は少なくない

事業立上げ時の商品作りを見ていると、商品を作る事ばかりに意識が行き、どのように販売していくかという考えに至っていないケースを多く散見します。集客商品はどの商品にするのか?その後のリピート購入に向けたフォローはどのような流れをとっていくのかという事まで考えた上で商品開発を行っていくことで不要なリスクを避けることができます。是非とも、この点を考えながら事業立ち上げ、商品開発を行っていってください。

 

ライター名
  • ライター
  • 船生 千紗子
  • 企業名:
    株式会社通販総研
    専門領域:
    化粧品通販コンサルタント
    ホームページ :
    http://www.tsuhan-soken.com/
    化粧品事業のスタートに最も重要な事は? :

    商品に強いこだわりを持ち、奇をてらわず当たり前の事を成果が出るまで着実に行うこと。

    プロフィール :

    通販に特化した広告代理店を経て、株式会社通販総研に入社。

    現在、化粧品通販新規参入支援、化粧品通販企業向けに『新規顧客獲得』、『リピート顧客育成』による売上アップ支援を行っています。

    多くの事例をもとにした実践型の支援により、クライアントの強みを伸ばし、着実な成長を促すことをモットーにしています。

    現在、化粧品業界誌『週刊粧業』にて連載中。