皆さま、こんにちは。(株)プラスリードの齋藤です。
マーケティングを考える上で、欠かせないのが「数字」になります。
私自身、2013年に「問題解決のためのデータ分析」という書籍を出版させていただいたのですが、その中で数字の重要性や読み解き方について、様々なマーケティング事例を踏まえて説明しています。
ではなぜ数字が重要なのでしょうか?
それは、数字を用いることにより、イメージが具体化されるからです。
例えば、「自社オリジナル化粧品をたくさん販売する」という目標であった場合、何本販売するのかがわかりません。従って、具体的にどんな施策をどれだけ実施すれば良いのかが不明なため、行動計画に落とし込むことができないのです。
しかし、これを「自社オリジナル化粧品を月に500万円販売する」という目標であった場合はどうでしょうか。
商品単価が5,000円の場合、500万円販売するためには、月に1,000本販売する必要があります。購入者1人当りの購入本数が平均2本であった場合、月に500人に対して販売すれば良いのです。
そして、月に500人に対して販売する場合、Webサイトでの購入率が1%であれば月に5万人がサイトに訪れる必要があります。現在のサイト訪問者数が自然流入で月間3万人であれば、残り2万人を新規で集める必要があります。仮にその2万人を広告で集める場合、1人集めるのに50円かかるのであれば、かかる広告費100万円となります。
このように、目標に数字を入れることにより、具体的に何をどの程度実施しなければならないのかがわかるのです。
マーケティングに数字は欠かせないということがわかりました。それでは、どのような数字が必要なのでしょうか。
タイトルにもあるように、マーケティングを考える上で「大きなところから考える」ことがとても重要です。
「化粧品を販売する」ということに対して、最も大きな数字とは何でしょうか。
そう、「化粧品市場規模」になります。
皆さまは化粧品市場規模をご存知でしょうか?
市場調査レポートを販売している(株)富士経済や(株)矢野経済研究所によると、日本国内の化粧品市場は2013年時点で約2.3兆円となります。
国内で化粧品販売をする場合、この2.3兆円が最も大きい数字となります。
そして、化粧品全体を商品カテゴリごとに分類したものが図1となります。
市場規模 | 構成比 | |
---|---|---|
合計 | 2,320,000 | 100.0% |
スキンケア | 1,071,840 | 46.2% |
メイクアップ | 510,400 | 22.0% |
ヘアケア | 424,560 | 18.3% |
フレグランス | 27,840 | 1.2% |
男性用化粧品 | 113,680 | 4.9% |
その他 | 171,680 | 7.4% |
もしあなたが販売する商品がスキンケアのみの場合、市場規模は1.1兆円程度となります。
また、化粧品全体を販売チャネルごとに分類したものが図2となります。
市場規模 | 構成比 | |
---|---|---|
合計 | 2,320,000 | 100.0% |
ドラッグストア | 686,900 | 29.5% |
通信販売 | 307,500 | 13.2% |
量販店(GMS、SM) | 287,400 | 12.4% |
化粧品店・薬局・薬店 | 226,200 | 9.7% |
訪問販売 | 205,800 | 8.9% |
百貨店 | 187,000 | 8.0% |
業務用 | 180,300 | 7.8% |
その他 | 243,800 | 10.5% |
船橋駅(千葉県船橋市)近くで化粧品販売店を経営します。
(わかりやすいようにWeb通販ではなく、実店舗になりますが、考え方は同様です)
スキンケアやヘアケア、メイクなど全化粧品合わせた市場規模は、年間約2.3兆円になります。また、日本に住んでいる人口は約1.2億人です。従って、一人当たりの平均年間購買金額は、約19,000円になります。
一方、船橋駅を利用する人数は、JR東日本によると約13.5万人となります。
従って、この化粧品販売店が展開するエリアでの市場規模は、19,000円に13.5万人を掛けて、約25.6億円となります。
この25.6億円を自店舗含め、各競合と取り合うことになるのです。
この数字さえわかっていれば、今の自店舗のシェアが定量的に判断できますし、目標売上を達成するためには、どの程度の客数や客単価増加が必要なのかが、瞬時に出てきます。
必要な数字がわかれば、打ち手も明確になります。
そのためには、一番大きい数字である、そもそもの市場規模を捉える必要があり、現状どの程度のシェアが取れているのかを知る必要があるのです。
ぜひあなたの事業の「今の状況」を定量的に把握してみてください。
マーケティング支援
販売する商品および店舗(ECサイト)におけるコンセプトとターゲットの一貫性
慶応義塾大学理工学部卒業後、株式会社船井総合研究所に入社。化粧品メーカーを中心に、様々な業種・企業のマーケティング分析、戦略構築を実践。約50社の化粧品メーカーを集めたセミナーの主宰も行う実績を持つ。現在、株式会社プラスリードの代表として、企業のマーケティング戦略の構築やコンサルティングを行っている。「問題解決のためのデータ分析」を2013年9月に出版。